2017年11月29日

「加熱式タバコが歯周病を悪化させる」説の真相

「iQOS(アイコス)」に代表される加熱式タバコに切り替えてから「歯茎が痛くなった」という声をしばしば聞くようになった。そのせいか、「加熱式タバコは歯周病を悪化させる」という話を聞く。実際に、歯科医師である筆者もそのような声を頻繁に聞くようになった。加熱式タバコは紙巻きタバコに比べれば、圧倒的に有害物質が少ないはずなのだが、なぜ歯茎が痛むのだろうか。(歯科医師・歯学博士・日本歯科総合研究所代表取締役社長 森下真紀)

● 人気の「次世代タバコ」だが 「歯茎が痛い」という人が増えた

 「次世代タバコ」とも称され、その代表格である「iQOS(アイコス)」(フィリップ モリス ジャパン)はいまだに品薄状態が続くほど、その人気は依然として高い。紙巻きタバコに比べて、副流煙が少なく、周囲への臭いも気になりにくい。有害物質も9割ほど低減できるという加熱式タバコである。

 このiQOSに加えて、「Ploom TECH(プルーム・テック)」(日本たばこ産業(JT))や「glo(グロー)」(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン)等が近年製品化されており、主要タバコメーカーによる次世代タバコ競争が過熱している。

 こうした次世代タバコは、従来の紙巻きタバコとは異なりタバコ葉を燃焼させないことから、有害物質である「タール」がほとんど出ないのが特徴だ。

 タールには発がん性物質が多く含まれ、特に紙巻きタバコのタールには人体に悪影響を及ぼす化合物が約200種類も含まれているとも言われている。一方の次世代タバコは紙巻きタバコに比べて健康被害が10分の1程度といわれており、次世代タバコにとって「大きなセールスポイント」とされている。

 それにもかかわらず、筆者が専門とする歯科治療の現場では、iQOSを吸い始めたことで歯科医院に飛び込んでくる患者が最近増加している。

 彼らの訴えは、「iQOSを吸い始めたら、歯茎が痛くなった。ひどいときには出血もある」「iQOSに替えたら歯周病になってしまった」といった具合である。

 なぜ、iQOSは紙巻きタバコと比べて“健康被害が少ない”と期待されたにもかかわらず、このような状況が起きているのか?

 これを考察するために、まず初めに紙巻きタバコと歯周病の関係について説明したい(超音波スケーラー)。

● 紙巻きタバコの喫煙は 歯周病の主要なリスクファクター

 まず紙巻きタバコの喫煙が、歯周病の主要なリスクファクターであることは“周知の事実”だ。実際にほとんどの喫煙者は歯周病を患っている。その原因として、紙巻きタバコに含まれる上述のタールとニコチンが関与している。

 具体的には、喫煙によってタールが口の中の粘膜に吸収されると、唾液の分泌量が減少し、歯周病の原因であるプラーク(歯垢)や歯石が歯に付着しやすい環境が形成される。

 そこに、血管を収縮させる作用を持つニコチンによって血液循環が悪化し、歯茎に酸素や栄養が十分に供給されなくなる結果、歯周病がより一層進行、悪化しやすい状況となるのだ。このように、紙巻きタバコに含まれるタールとニコチンの相乗効果により、喫煙者の歯周病は非喫煙者と比較して極めて劣悪な状態となる。

以上の「紙巻きタバコと歯周病」の関係を踏まえ、iQOSの場合は果たしてどうなのか?

 iQOSが紙巻きタバコより高いアドバンテージを有する点として、タールが極めて少ないことは冒頭に述べた通りである。

 もしそうであるならば、「タールを削減しているiQOSは、紙巻きタバコと比較して歯周病の程度は軽減される」と考えることに矛盾はない。

 では、なぜこれと相反して、「iQOSに替えたら歯茎が痛くなった」という現象が生じるのだろうか(歯科機器)。



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